子供たちが自ら考え、行動する力を育む保育環境と食育

子供たちが自ら考え、行動する力を育む保育環境と食育

第40回 記事子供たちが自ら考え、行動する力を育む保育環境と食育

2025.10.27

生活の中で“自分でしようとする気持ち”を育む保育

生活の中で“自分でしようとする気持ち”を育む保育

この園は保育士たちの専門的な視点から、子供たちが自ら考え、行動する力を育むためには、どのような経験が必要なのかを考えて、保育の環境を整えています。

0歳児~2歳児の保育室では、棚に並べられている着替えなどが入れられている籠に、動物やお花や車などが描かれているマークがそれぞれに貼りつけてあります。これは園児一人ひとりが自分のものとわかる目印になるように、一人ずつ自分で選んだもので、入園してから卒園するまでこのマークは変わらず使います。歩行が始まり、なんでも自分でしようとする気持ちが芽生える1歳児では、その気持ちを尊重するように、生活の中で子供自身が自発的に習得できるように配慮しています。おむつ交換の時に子供は自分の棚の籠の中にある紙オムツを取り出し、おむつ替えへと向かいます。

他にも、おもちゃの片づけは、ミニカーなら収納する棚にはミニカーの写真が示されていて、保育士が丁寧にしまう行動を示すことにより、それを見た子供たちが模倣しながら遊びや生活を通して身に付いていくようにしています。

自ら考えてできることが増えるという事は、子供の自信になり、自身の生活の見通しを持てることに対する安心感にもなります。

食を通じて広がる学びと繋がり

食を通じて広がる学びと繋がり

玄関ホールにつながっている厨房の入り口に、「しょくいくコーナー」という掲示板があります。掲示板には「世界の料理」、「郷土料理」、「絵本メニュー」が示されています。日常的に色々な生活文化や食文化に触れる機会を設け、具体的な体験から子供たちが食を通して生きる力を育てられるように、年間を通じてそれぞれのテーマのメニューが提供されています。

世界の料理や郷土料理は、保育士たちも子供たちと一緒に調べながら学んでいく機会になっています。夏休みに「田舎のおじいちゃんのところで食べた!」と言う子供との会話から保育士が、いろいろ問いかけをしながら郷土料理について学ぶきっかけに繋がりました。

絵本で読んだ料理、世界の料理も子供たちが関心を示し、給食献立の提案に繋がり、実際に料理が給食で提供されて、食べて味わうという体験にも広がっていきます。

「これ〇〇ちゃんの話してくれた料理だよ」との会話が子供たちから聞かれることもあり、食を通じた子供同士のかかわりの深まりを感じることもできます。保育士同士、給食スタッフとのチーム連携も活きる場面となっています。

子供たちがどんなことに関心を寄せているのかを、保育士たちは耳を澄ませるように聞き取り、速やかに関連する絵本や図鑑などを用意して、本棚に並べます。子供たちが自由に取り出せるように手の届くところにおいて、保育士も一緒に目を通しながら学ぶことになります。本棚は玄関ホールにも置いてあるため、子供たちの関心がお迎えに来た保護者にも届くようになり、図書の貸出しもできるようにしています。家庭でゆっくりと、親子で絵本などを開きながら、食に関わる話題が広がることを期待しています。


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第39回 記事 自慢の園庭、築山への挑戦

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