自慢の園庭、築山への挑戦

自慢の園庭、築山への挑戦

第39回 記事自慢の園庭、築山への挑戦

2025.10.6

園庭を自然と関われる環境に

園庭を自然と関われる環境に

この園の庭には、固定遊具はありませんが大きな築山があります。この築山は、園庭の一部に田んぼを作った時に、掘り出した土を積み上げて、砂場の隣に作られました。子供たちには、興味津々な築山となりました。この園は都市部にありますが、園庭にはこの築山、田んぼの他に畑もあり、実のなる樹木も複数植えられていて、実った果実を味わうことができ、夏には枝葉が木陰をつくります。田んぼには、今年初めて収穫するという稲が実っています。畑にはオクラやゴーヤがなっています。収穫がほとんど済んでいましたが、給食で食べたスイカの種を植えたというところには、小さな芽が出ています。実った野菜をみんなで食べる食育にもつながっています。このように、自然と関わる体験をしながら、子供の育ちを支える“環境”として計画されて、社会性や生きる力を育みたいという、保育士たちの願いから作られた自慢の園庭です。

築山が育む子供の育ち

築山が育む子供の育ち

この園の築山は子供たちが登って体を動かすだけでなく、見晴らしの良い場所として人気です。当初1メートル以上あった築山を、一番最初にてっぺんまで登ったのは、2歳児でした。それを見た1歳児が、次々に真似をして登り始めました。土を盛っただけの山なので、手をつきながら泥んこになりながらてっぺんに登ると、それぞれ子供たちには達成感があるのでしょう。どの子も満足げになります。4、5歳児になると手を付かなくても、ダダダダーと一気に登ることができます。

手のひらが汚れることを嫌う1歳児が、幼児たちが登る様子をみて、同じように手を付かないで足だけで登ろうと挑戦しました。まだ体幹が十分に発達していないため、平地の歩行は安定していても、傾斜を立ち歩きで登ることがなかなかできませんでした。悔しいのか、泣きながら、足で登ることにこだわっていました。保育士たちは傍らで、一緒に泥んこになって見守りながら、その子に寄り添い、横で手を付いて登る姿を何気なく見せていたりもしました。最終的には自然に手を付けて登れるようにもなりましたが、手を付かなくてもしっかり登れるようにもなりました。保育士たちは、手が汚れることを受け入れられたこと、最後まで手を付かずに登ることを達成したその子の成長を築山が育んだことと考えています。

保育士たちも泥だらけになり、子供と一緒に汚れることを楽しんでいます。そのような身近な大人の存在に安心したり真似をしたりしながら、子供たちは挑戦する意欲を育んでいます。


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