第43回 記事保育士のチーム力
全職員で子供を見守る

この園は「全職員で園児を見守る」という考えで保育を行っているため、保育士同士の連携がとてもよくとれています。毎日午後2時、子供たちの昼寝の時間に、必ずミーティングをして、午前中の保育の状況を共有します。午後はシフト制になって対応する保育士が変わっても、保育士は同じ眼差しで子供たちを見守ることができ、子供たちが安心して生活するためのとても大切な情報交換の場となります。このことは、保育環境の安全、安心につながるだけでなく、保護者から見ても、「保育士全員が子供たちを理解してくれている」という信頼にもつながっています。登園した時に対応した保育士と、お迎えの時に対応する保育士が異なっても、一日のその子の保育生活が、きちんと伝えられることや、何かトラブルがあった時に連絡帳の記録だけでなく保育士から丁寧に説明することが大切であると考えています。そのためには保育士のしっかりした連携が求められます。
園長は、保育士同士がフランクに話し合える環境づくりを心掛けています。保育中に職員室に来た保育士のつぶやきにも明るく対応するように努めています。また、保育士の書いた記録を読んで、以前は気になることなどは付箋にコメントを記入して返していたのですが、今年から、直接保育士の顔を見ながら話すことにしました。初め、保育士は緊張気味でしたが、記録した保育士の気持ちや、保育の内容について顔を見ながら話し合うことで、子供の様子を共有することができ、よりスムーズにコミュニケーションをとることができるようになったようです。
助け合いと学び合い ― チームで育つ保育の力

また、経験豊富な保育士と経験の少ない若い保育士が協力して保育を行っており、若い保育士を信頼してある程度任せて、見守るようにしています。
運動会のプログラムを初めて担当した5歳児クラスの若い保育士は、子供たちと話し合いながら、企画を考えていました。ここ数年、年長児が取り組んできた東北地方のお祭りを模した「荒馬」は、年中、年少のときから子供たちが憧れているため、今年も企画に入れようと考えましたが、企画がうまくまとまらず、かなり悩んでいたそうです。その様子を見て、3歳から5歳担当の保育士全員が集まり、担当の保育士の不安やうまく進められない理由を聴きながら、解決に向けたアドバイスや、経験に基づく話し合いをしました。練習をするときも、太鼓の叩き方や衣装の着け方など、「荒馬」を経験している保育士が集まり、教え合って、無事に運動会で実施することができました。年長児が運動会の思い出として描いた絵には、「荒馬」の様子を多くの子供が描いていました。
この園では普段は年齢別にクラス編成がされていますが、3歳から5歳までの幼児クラスが合同で製作活動をした時があります。製作が得意な保育士の発案で、保育士同士も共同作業を行い、学びの機会にもなりました。また、5歳児が3歳児に自然と教えている姿も見られました。
保育士同士が互いを尊重する職場の雰囲気作りや、職員の持ち味や良いところに目を向けて関心を持つことは、結果として≪保育の向上≫に繋がります。
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