第53回 記事提案から実践へ~得意分野を日常の保育に根づかせる関わり~
職員の提案を日常保育に反映する取り組み

こちらの園では職員一人ひとりの得意分野や関心を尊重し、対話を通して引き出すことを大切にしている姿についてお伝えしました。しかし、職員のやる気を高めるためには、会議や行事の提案にとどまるものではなく、日々の保育の中で実際に形となり、積み重ねられていくことで初めて意味を持つものだと考えています。
その具体的な姿が、日常の何気ない出来事から生まれる活動の広がりに表れています。
日常の出来事を起点とした保育の実践

例えば、ある日の散歩中、子供たちが落ちていた一本の竹に興味を示し、触れたり、皆で持ち上げたりしながら園へ持ち帰ってきたことがありました。
その様子を見た職員は、「何かの活動につなげられそうですね」と職員同士で声を掛け合い、日頃のやりとりや提案を大切にする姿勢のもと、次の保育へと発展させていきました。
後日、その竹は職員の手で加工され、竹を使った遊びや、身体を使って挑戦するバンブーダンスへと発展しました。子供たちは素材の変化や使い方の違いを体験し、遊びを通して自然への関心を深めることができました。 もともと、散歩先から落ち葉やどんぐり等を持って帰ってきたり、自然の中を探索したりしていましたが、大きな枝を持って帰ったり、持ち帰ったもので製作をしたりと遊びに活用する機会が増えました。また、遊具がない公園でも集中して土遊びを楽しむ姿も増えました。
あらかじめ計画された行事ではなく、子供たちの行動を起点に、職員の発想や得意分野が重なり合って生まれた実践です。
このような活動が可能になる背景には、職員同士が日頃から「これを保育に生かしたい」「次はこうしてみませんか」と気軽に声を掛け合える関係性があります。
誰か一人の得意なことに任せきりにするのではなく、複数の職員で相談し、補い合いながら進めていくことで、負担を分散しつつ、保育の幅を広げていきます。
また、得意な分野だけを発揮するのではなく、分からないことや初めてのことにも学びながら挑戦する姿勢を大切にしています。その過程を子供たちと共有することで、「やってみる」「工夫する」といった姿勢そのものが、保育の価値として伝わっていきます。
このように、職員の提案を尊重する関わりは、日常の保育実践へと確実につながっています。自分の得意分野や気づきが、子供たちの遊びや学びとして目の前に現れることは、職員にとって大きなやりがいとなります。保育者自身が尊重されるという経験が、自然と「子供を尊重する」姿勢につながるとも考えられます。行事だけでなく、日々の出来事を起点に保育をつくり続けていくことが、魅力ある保育の仕事につながっていくのです。
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