子供たちの多様な関わりに気付く保育士

子供たちの多様な関わりに気付く保育士

第9回 記事子供たちの多様な関わりに気付く保育士 -複数の保育士の視点で子供たちを理解する-

2024.9.30

子供たちの多様な関わりに気付く保育士

子供たちの多様な関わりに気付く保育士

保育士は、子供同士が関わる様子をよく見ています。その中で、想像以上に子供たちの多様な関わりから、自己の確立と他者への思いやりを育んでいることに気付いて、感動することがあります。

こちらの園では、3歳から6歳まで一緒に生活をしています。年度当初にこんなことがありました。2歳児クラスからこの異年齢のクラスに進級していた3歳児のなかに、けん玉の得意な子がいました。すると、一斉に年長児がその子のところにけん玉を教わりに行ったのです。年長だから偉いという意識ではなく、得意な子が不得意な子に教えるという関係です。クラスには、性別、支援の必要な子、様々な国籍の子など多様性がありますが、子供たちは、それらの異なりによって区別はしていません。普段から異年齢で生活しているから生まれてきているのかもしれません。異年齢で構成されている保育士集団も、若いから、ベテランだからということに関係なく、このような子供の姿から学ぶことが多くあります。

また、ある時、保育士のところに絵本を読んでほしいという1歳の子がやってきました。保育士はその時、すぐに読んであげられない状態だったのですが、そばにいた他の1歳児が、代わりに絵本を一緒に読み始めました。保育士はその様子を見て、子供同士のとてもあたたかな関わりがあることに気づきました。保育士が直接関わるだけではなく、子供たちの多様な関わりの中で、保育が豊かに成り立っているのです。

複数の保育士の視点で子供たちを理解する

複数の保育士の視点で子供たちを理解する

また、保育士は、子供たちの姿をそれぞれの視点で捉え、保育士同士ですり合わせることで、一人一人の子供への理解を深めています。

例えば、保育士同士で子供たちの様子を共有している時、ある保育士は、Dちゃんについて「この子は比較的おとなしい子だよね」と言いました。それに対して、他の保育士は、「Dちゃんには例えばこういう活発な面もあるんですよ」と別の視点からDちゃんの姿を伝えました。するとその保育士は、「そうなのか!その姿は知らなかった」と子供の新たな一面に気付いたのです。

このように、いつも複数の保育士が子供たちを細かく見ていることで、一人一人の子供の理解が一方的にならず、多様な姿を認めることができます。子供同士のつながりも、一人の保育士が見たことだけでなく、保育士全体で共有することで、子供たちと過ごす時間の素晴らしさも共有しているのです。

複数の保育士の視点で子供たちを理解する


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