第20回 記事保育士の工夫で豊かな体験
0歳児からのお芋ほり体験
0~2歳児が在籍するこちらの園では、室内でお芋ほり体験が行われていました。プランターで育てたサツマイモをたらいの中に移し土をかぶせ、土の中から宝さがしのようにお芋を見つけ出すスタイルの“お芋ほり”です。
「お芋ほり」というと広い畑に行ってというイメージを持たれるかと思いますが、室内でのお芋ほりは、発達の個人差が大きい0~2歳児クラスの子供たちが、無理なく体験することができます。
保育室に並べられた、タライの中には土が入れられ、お芋のツルらしきものや葉が見えています。保育士が声掛けをして、周りに子供たちが集まってきました。「なんだろう?」と観察する子供たち。「お芋ほり」がテーマの絵本を読んで、お芋ほりのイメージを膨らませます。そして、お芋ほりの体験が始まりました。躊躇なく手を伸ばして土に手を入れる子供もいますが、なかなか側に寄らず、お友達の様子を暫く観察してから保育士の言葉かけで恐る恐る触ってみる子供もいます。ほり出したお芋を嬉しそうに見ているのは1歳児です。お部屋の中でも立派な「お芋ほり体験」が繰り広げられていました。
保育士は子供みんなが掘り出すことができたか確認しながら、子供たちの名前が書かれた袋に一つずつ入れて持ち帰るように配りました。
収穫するまでのさつまいもは、2歳児クラスの子供たちが当番制で水やりをして育てました。玄関前に並べてあるプランターの前で、子供たちが水やりや観察をしていると、通りがかった地域の方々からも「いくつくらいとれるのかな?」「楽しみだね」と温かい言葉をたくさん頂き交流が深まります。
プランターで育てた作物が育むもの
こちらの園では、玄関近くにプランターを置いて、野菜も育て、芋掘りだけでなく、食への関心が深まる「食育」につなげています。
好き嫌いが激しい2歳児、おままごとでも自分の食べられるものしかお皿に乗せなかったのですが、ある時気が付くと、おままごとの中で使う食材の幅が広がっていたのです。また、ピーマンが食べられなかったのですが、園で育てたピーマンを持ち帰って、家族で一緒に調理したことがきっかけで、食べられるようになったこともありました。
各園の状況に応じて保育士が工夫を重ね、子供たちの豊かな経験につながっているのです。
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