第24回 記事子供の「やってみたい」を尊重する
雨上がりのグランドで遊ぶ子供の姿
こちらの園は大学のキャンパス内に設置されています。毎日、年齢に応じて広いキャンパス内のどこに行くかを子供たちと相談して出かける保育が展開されています。構内には広いグランドもあります。
雨上がりの午前、4歳児、5歳児が出かけたのはグランドです。子供たちは思い思いの場所に広がっていき、それぞれの遊びが始まりました。グランドの中に大きな水たまりができていて、それを覗き込んでいた子供たちから、「うえ(空)には、虹がないのに、水たまりの中には虹が見えるよ!」と声があがりました。この大発見に夢中になる子供たち。次には「これは浮くと思う?沈むと思う?」と、石や葉っぱを水溜りに入れ、水の中で浮くのか沈むのか試し始めました。「いちょうの葉っぱは浮くよ!」「こっちはどうかな」と試しは続きました。
次第にダイナミックな遊びになり、木々を持ってきて釣りをする人がいると、そこに魚になりきって動き出す人がやってきました。水たまりの中に入って、気持ちよさも感じながら、楽しむ子供たちでした。
大きな水たまりとの出会いをきっかけとして、美しさを感じながら探究したり、イメージの遊びを楽しんだりしていく子供たちです。それぞれの湧き出る思いが重なって遊びが展開されていきます。保育士は、そのような子供たちの動きをとらえながら、一緒に驚いたり喜んだり、見守ったりしながら、遊びを支えています。
広いグランドでボール遊びをする子供たち。思い切りけったボールがグランドの片隅にある木の枝に引っかかってしまいました。そのボールを落とそうと、4歳、5歳の子供たちが別のボールを投げたりしています。なかなかボールは落ちてきません。少し離れて、引っかかったボールの位置を確認するのは5歳児。「あーダメか、落ちないね」「あと少しかな」と見ながら、子供たちの気持ちが一体になってボールを落とすことに挑む姿がありました。誰が決めるということでもなく自然に順番に、挑んでいます。近くを通りがかった担任保育士は眼差しを送りながらも、子供たち同士でなんとかしようとしている様子にたくましさを感じながら、あえて声はかけずに見守っています。
子供たちは、置かれた環境、出来事を「やってみたい遊び」とつなげて、体で感じながら遊びこんでいます。保育士は、子供たちに眼差しを送り、子供のやりたい気持ちに寄り添いながら保育を行っているのです。
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