第25回 記事つながりを育む環境
つながりを育む環境
こちらの園では、乳幼児期は人格形成の基礎を培う大切な時期と考え、子供たちが就学前の時期を豊かに過ごせる保育・教育を展開しています。その際、「つながる」をキーワードにして、「人・遊び・地球・家庭・地域」という5つのつながりを大切にしています。
0歳児の保育室には、子供たちの写真をまとめた手作りの冊子が棚に並べられています。冊子を手に取った子供たちが、絵本のような形でお友達を感じられるように、という保育者の思いが込められています。保護者の方も、冊子を見ることで、同じクラスの子たちの顔がよく分かるようになります。子供同士のつながりだけでなく、保護者とのつながりも生み出しています。
棚に並べられた水の入った小さな透明容器には、よく見ると、金木犀の花が入っています。散歩にでかけたときに金木犀の木の下で見つけた花を、子供たちが大切に集めて園まで持ってきたものです。透明容器を軽く振ると金木犀の黄色い花々が水の中でふわふわと踊り、輝く色や光にひきつけられます。散歩先で出会い集めてきた花が、部屋の中で一人ひとりの遊びにつながっています。
0歳児の保育室は、心地よく過ごしながら様々な感覚が育まれるような工夫と配慮があります。月齢の低い歩行前の子供は、寝るリズムと遊ぶリズムが一人ひとり大きく異なります。一人ひとりの生活を大切に育むために寝る場所と遊びのスペースが段差をつけ分かれています。また、0歳児の保育室の窓ガラスには、三角、四角、丸形の色とりどりの透明なフィルムが貼られています。このフィルムは、子供達が着けたり外したりできます。はいはいをしたり、寝転がった時にも、窓からの日差しで色とりどりの光が床に映ることを豊かに感じられます。光、色、音、風をからだで感じる0歳児の世界が育まれています。
地域とつながる
お昼前、外遊びをしていた子供たちが、それぞれ戻ってきて、着替えや、食事の準備など、思い思いに過ごしています。3歳児クラスでは、子供たちが集まっています。毎月1回行われている地域ボランティアの方による絵本の読み聞かせが始まります。それまで賑やかだった保育室ですが、絵本を手にしたボランティアの方が子供たちに話しかけると、子供たちは絵本の世界に引き込まれていきました。
子供を真ん中にして地域の方々と園の保育者がいろいろなかかわりを持つことで、子供へ向けるまなざしを共有していくことを積み重ねています。園と地域、子供と地域、そして保護者と地域がつながる環境の中で、子供たちは豊かに学び育っていきます。
このページをシェア