第3回 記事異年齢保育における保育士の関わり方 -一人一人の様子や発達段階をよく捉えて-
初めての異年齢クラス
3歳児のAさんは、この春から3~5歳児の異年齢保育のクラスになりました。
こちらの保育園では、2歳児までは年齢ごとのクラスですが、3~5歳児のクラスは異年齢保育のクラスとなっています。
これまで年齢の異なる子供とあまり遊んだことがなかったAさんは、ワクワクした気持ちとともに、初めての環境で少し不安も感じているようでした。
新しいクラスになったばかりの4~5月頃、Aさんは2歳児クラスでは出来ていた服の着替えや食事が、1人で上手く出来なくなる様子がみられました。これは子供が不安を感じている時などに、しばしば見られる行動です。
3歳児へのサポート
そのため、保育士は最初の1~2か月ほど、Aさんの日々の生活場面の手助けをしました。服を着替える際や、ご飯を食べる時など、Aさんが新しい環境で感じている不安を取り除けるように、保育士は愛情をもってサポートします。そうした保育士との関わりのなかで、Aさんは少しずつ新しいクラスにも慣れ、服の着替えや食事も1人で出来るようになりました。
このように、保育士はクラスの中で最年少となる3歳児へのフォローを大切にしています。
異年齢保育のなかで育つ意欲
Aさんが新しいクラスに馴染んでしばらくした頃、保育士はAさんが、5歳児のBさんのブロック遊びを真似して遊んでいるのに気付きました。Bさんが遊んでいたブロックは、様々な形のパーツを組み合わせて、立体をつくるもので、Aさんにとっては少し難しめのものでした。しかし、Aさんは、年長のBさんの遊びを見ることで、「自分もできるようになりたい」と意欲が芽生えていて、Bさんの遊び方を真似しながら、立体作りにチャレンジしています。
保育士はそんなAさんを見守り、寄り添いながら、「よくできたね」と褒めていました。Aさんは、挑戦した遊びが出来たことや、保育士に褒められたことで、自己肯定感や自信につながっています。
年齢別の活動も大切に
異年齢保育では、年齢によって興味や発達段階が異なるため、こちらの保育園では、年齢ごとの興味や特徴に応じた遊びや、年齢に応じた様々な体験をする活動も大切にしています。
例えば、5歳児のみで外に出かける遠足を行っています。年下の子供たちに合わせていると、年上の子供たちにとっては物足りなくて、退屈してしまうこともあります。年長のみで出かける遠足では遠出もでき、様々な公共交通機関も使うことができます。
異年齢保育に携わる保育士は、子供たち一人一人の様子や発達段階をよく把握し、異年齢保育の良さと年齢別活動の良さを両方取り入れながら、子供たちが生き生きと過ごせるように工夫しているのです。
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